結婚に向け略式結納を行う場合、「略式結納って何をするの?どんな準備が必要?当日は何をしたらいいの?」と不安に思われるかもしれません。略式結納は目にする機会が少なく、初めて参加するという方も少なくありません。そのため、不安に思われるのは当然のこと。今回は略式結納ではどのようなことをするのか、当日の流れやマナーまで詳しくご紹介します。
略式結納は、結納品を納める結婚の儀式(結納)を略式にしたもので、料亭やレストランなどに両家が集まって行います。
また、仲人を立てて進行する場合と、仲人を立てずに進行する場合があります。
仲人を立てずにホテル・式場・料亭などで行う略式結納を行うスタイルが多く、会場によっては、略式結納と食事会を同日に行えるプランがあることも特徴です。
正式結納との違い
正式結納と略式結納の最も大きな違いは、両家が直接会うかどうかです。
結納では両家の間を取り持つ「仲人」という方が必ず付きますが、略式結納では仲人をつけない場合が多いです。
正式結納では仲人が両家の間を行き来して仲介し、また、略式結納は結納と比べて結納品の数が少なくなる特徴もあります。
関東式と関西式の主な違い
結納には関東式と関西式というように、地域や風習によって結納のスタイルが変わります。
関東式と関西式ではこのような特徴があります。
関東式:新郎新婦の立場が同格扱い。お互いに結納品を取り交わす。
関西式:結納品は新郎側のみが贈るもの。女性からの結納品は無い。
結納品をはじめ、並べ方や結納返しにも違いがあり、特に結納返しについては大きく異なります。
また、略式結納では、結納品を9品から7品に減らすこともできます。
略式結納当日までにしておくべきこと
略式結納は、当日までに以下のこと決め、準備します。
・略式結納に関する情報収集
・相手方の家族との打ち合わせ(日時、場所、食事の内容等)
・関東式と関西式どちらで執り行うか決める
・お互いの両親について知っておく、情報交換をしておく
・口上の準備をしておく(暗記が望ましいが、原稿を準備してもOK)
・結納品の数を決め、目録と受書を用意する
・結納金の金額、結納品、結婚記念品を決める
略式結納当日の流れをご紹介します。
今回は、仲人を立てない場合の関西式の略式結納の流れをご紹介し、仲人を立てる場合は最後のQ&Aで流れをご紹介します。
1.結納品の飾り付けと着席
まず、結納品をこのような場所に飾り付けます。
和室:床の間か床の間の前
洋間:テーブルの上
また、男性側の結納品は入り口から見て右側又は入り口から離れている側、女性側は入り口から見て左側又は入り口に近い側に飾りましょう。
飾る付けは、男性側が飾り付けを行い着席した後、女性側が飾り付けし、着席します。
そして、関西式の場合は1品ずつ白木台にのせます。
なお、料亭など略式結納がよく行われる会場では、予約すると結納品を用意してくれる会場もあります。
2.はじまりの挨拶
仲人がいない場合は新郎側の父親が進行するのがはじまりの挨拶を述べるのが一般的です。
この度は、お嬢様と私共の息子とご縁がありましたこと大変うれしく、といった挨拶を述べます。
3.男性から女性に結納品を納める
次に、男性側の母親が結納品を女性の前に運びます。
結納品は片木盆(へきぼん)に載せたままお盆ごと渡すのがしきたり。
母親が一礼して席に戻ったら、男性側の父親又は男性本人が口上を述べます。
4.女性側から受書を渡す
女性側は「結納品の目録」を確認し、確認を終えたら目録を元に戻します。
次に、女性側の父親が口上を述べます。
そして女性側の母親が床の間(上座)に結納品を運び、受書を男性本人に渡します。
男性本人→父→母の順で受書に目を通し、男性本人が口上を述べます。
関西式では、男性から女性に結納品を納めたこの段階で略式結納が終わります。
関東式の場合は、女性から男性に結納品を納め、男性からの受書渡しも行います。
挨拶例を記載すると一致率が高くなってしまうため、今回、挨拶の例文は省略しております。
挨拶例:
この度、お嬢様と私どもの息子とご縁がありましたこと大変嬉しく思っております。
本日はお天気にも恵まれ、お日柄も宜しく結納を納めさせていただきます。
5.婚約記念品の披露
次に、婚約指輪といった婚約記念品を準備している場合は、交換し、お披露目を行います。
すでに交換済みの場合は、お互いの両親にお披露目する場となります。
6.締めの挨拶
最後に、男性側の父親から締めの挨拶をし、女性側の父親も返礼の挨拶をします。
その後、両家での記念撮影や食事会を行うのが一般的な流れとなります。
略式結納は歴史ある儀式ですから、マナーもあります。
相手の家族に礼儀正しく接すためにも、マナーはしっかり確認しておきましょう。
1.カジュアルな服装は避ける
略式結納はフォーマルかセミフォーマルでの出席が一般的です。
主にこのような服装になります。
男性:白色のシャツに華やかなネクタイを使ったダークスーツ
女性:振袖、訪問着、ドレス、フォーマルなワンピース
父:ダークスーツ
母:色留袖、訪問着、ドレス、フォーマルなワンピース
両家でどのような服装で出席するか事前に相談しておくと安心です。
2.決められた口上で進行する
略式結納では決められた口上があります。この口上をできる限り暗記し、進行していきます。
また、略式結納の最中は雑談をしたり、流れにない話をするのは適切ではありません。
なるべく私語はせず、粛々と儀式を進めましょう。
3.忌み言葉は避ける
略式結納はハレの日です。別れや破談をイメージさせるネガティブな意味の言葉は避けましょう。忌み言葉や重ね言葉は使わないようにします。
忌み言葉の例:別れる、切れる、割れる、離れる、壊れる、など
重ね言葉の例:重ね重ね、たびたび、くれぐれも、など
4.結納品は風呂敷に包む
結納品は風呂敷に包み、丁寧に扱います。実はこの風呂敷の包み方にもマナーがあります。
結納品を持参するときは風呂敷に包みますが、端は結びません。これは「ほどく」で「縁が切れる」を連想させるためです。
逆に、結納品を持ち帰るときはしっかりと結びます。これは「縁を結ぶ」意味があります。
5.結納品は新品を用意する
結納品は新品を用意します。基本的には結納品の使いまわしはNGです。
しかし、「福分け」など地域によって風習が異なります。
結納や略式結納の地域の風習を事前に確認しておくと安心です。
6.座布団は必要な場合に使用する
略式結納を和室で行う際、座布団は使わないのがマナーです。これは座布団を使うと「一段上から相手を見ることになってしまう」という理由のためです。
しかし、様々な事情もあるため座布団を使用する際は、事前に両家で話し合っておきましょう。
略式結納について、よくある質問をご紹介します。
Q. 略式結納を行う時期はいつが良いですか?
A.特にいつ行うのが良いというのはありませんが、挙式の半年前あたりに行うことが多いです。また、両家の都合によって1~3ヶ月前など挙式に近い時期に行うケースもあります。
いつ行うか悩む場合は、お日柄や集まりやすい日を優先すると良いでしょう。
Q. 仲人がいる場合、当日の流れは変わりますか?
A.当日の流れは大きく変わりません。 仲人がいる場合は進行を仲人が担当し、結納品や受取書なども仲人を介して渡します。
Q. 略式結納は必ず行う必要がありますか?
A.略式結納は必ず行う必要はありません。
結納はせず、食事会で両家の顔合わせをするケースの方が多いほどです。
しかし、地域性や家の伝統によっても変わってくるため、結納をする・しないは両家に相談し決めると良いでしょう。
略式結納は様々なマナーや準備するものがあり、事前の準備が欠かせません。また、挙式前に両家で行う大切な儀式でもありますので、進行や口上をしっかり覚えて望みたいところ。
また、略式結納は分からないことばかりで不安という場合は、ブライダルサロンで相談したり、進行を手伝ってくれるホテルの料亭などで略式結納を行うのも一つの方法です。
女性の自宅で略式結納を行う場合もありますが、略式結納のプランを利用すると準備の負担が減るメリットがありますよ。